献血の種類とそれぞれの特徴:全血献血と成分献血の違いを解説
献血に興味をお持ちの皆様へ、献血は命を救う大切な行為です。しかし、「献血」と一言で言っても、実はいくつかの種類があることをご存じでしょうか。献血センターを訪れた際、「全血献血」や「成分献血」という言葉を耳にすることがあるかもしれません。これらの違いを事前に理解しておくことで、より安心して、そしてご自身の体調やライフスタイルに合った献血を選ぶことができるでしょう。
この記事では、献血の主な二つの種類である全血献血と成分献血について、その特徴、具体的なプロセス、所要時間、献血間隔、そしてそれぞれのメリットと考慮すべき点について詳しく解説いたします。
献血の種類とは
献血は、採取する血液の成分によって主に「全血献血」と「成分献血」の二種類に分けられます。それぞれ採取される血液の量や成分、そしてかかる時間や次に献血できるまでの期間が異なります。
全血献血について
全血献血は、血液のすべての成分(赤血球、血漿、血小板など)をまとめて採取する方法です。献血と聞いて多くの方がイメージされるのは、この全血献血かもしれません。
特徴とプロセス
全血献血では、献血者の腕から採血針を介して一定量の血液を採取します。採取された血液は、輸血に必要な各成分に分離されて医療機関へ届けられます。
- 採取量: 一般的には200mLまたは400mLのいずれかを選択します。ご自身の体重や健康状態、献血履歴によって選択できる量が異なります。
- 所要時間: 採血にかかる時間は、200mL献血で約5〜10分、400mL献血で約10〜15分程度です。受付から問診、採血、休憩を含めた献血センター滞在時間全体は、通常40分〜1時間程度を見ておくとよいでしょう。
- 献血間隔: 全血献血は、体内の血液成分が回復するまでに一定の期間が必要なため、次に献血できるまでの間隔が比較的長めに設定されています。
- 200mL献血の場合:男女ともに4週間後の同じ曜日から献血可能
- 400mL献血の場合:男性は12週間後、女性は16週間後の同じ曜日から献血可能
全血献血のメリットと考慮点
- メリット:
- 比較的短時間で完了するため、忙しい方でも協力しやすい傾向があります。
- 血液の全ての成分を必要とする患者さんのために活用されます。
- 考慮点:
- 献血間隔が長いため、頻繁に協力することはできません。
- 献血後に一時的に体内の血液量が減少するため、水分補給や安静が必要となる場合があります。
成分献血について
成分献血は、血液中の特定の成分(血漿や血小板など)のみを採取し、それ以外の成分は献血者の体内に戻す方法です。特殊な献血装置(アフェレーシス装置)を使用します。
特徴とプロセス
成分献血は、採血と返血を繰り返しながら必要な成分だけを分離・採取します。主に「血漿成分献血」と「血小板成分献血」の二種類があります。
- 血漿成分献血:
- 血液中の血漿のみを採取します。血漿は、出血を止める凝固因子や、免疫に関わるタンパク質など、さまざまな成分を含んでいます。
- 所要時間:採血時間は約40〜60分程度です。
- 血小板成分献血:
- 血液中の血小板のみを採取します。血小板は、出血した際に血液を固める働きを持つ成分で、特にがん治療などで免疫力が低下した患者さんに多く使用されます。
- 所要時間:採血時間は約60〜90分程度かかります。
受付から問診、採血、休憩を含めた献血センター滞在時間全体は、血漿成分献血で約1時間半、血小板成分献血で約2時間〜2時間半程度を見ておくとよいでしょう。
- 献血間隔: 体内に血液の大部分が戻るため、全血献血よりも短い間隔で献血が可能です。
- 血漿成分献血:2週間後の同じ曜日から献血可能
- 血小板成分献血:2週間後の同じ曜日から献血可能
- ただし、年間で献血できる回数や量が定められています。
成分献血のメリットと考慮点
- メリット:
- 短い間隔で献血に協力できるため、より頻繁に社会貢献が可能です。
- 特定の血液成分が大量に必要な患者さんに対して、効率的に必要な血液を供給できます。
- 考慮点:
- 全血献血に比べて所要時間が長くなります。
- 採血針を刺している時間が長くなるため、針を刺すことへの不安を感じる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、採血は熟練したスタッフが行い、体への負担を最小限に抑えるよう配慮されています。
どちらの献血を選べばよいのか
全血献血と成分献血のどちらを選ぶべきかについては、ご自身の体調、時間的な都合、そして医療機関で必要とされている血液製剤の種類によって検討することができます。
- 「まずは短時間で献血を体験してみたい」 とお考えの場合は、全血献血が選択肢となるでしょう。
- 「より頻繁に献血に協力したい」「特定の成分を必要とする患者さんのために役立ちたい」 とお考えの場合は、成分献血が適しているかもしれません。
献血ルームでは、献血者の健康状態や当日の血液製剤の必要量に応じて、適切な献血方法を提案してくれます。迷った場合は、献血会場のスタッフに相談してみることをお勧めいたします。
献血の安全性について
どのような献血方法であっても、献血時の安全性は最大限に確保されています。使用される採血器具はすべて新品・滅菌済みで、一人ひとりに使い捨てであるため、感染症の心配はございません。献血前には必ず医師による問診と検査が行われ、献血者の健康状態が良好であるかを確認します。これにより、献血者の安全、そして輸血を受ける患者さんの安全が守られています。
まとめ
献血には、全血献血と成分献血という二つの主要な方法があります。それぞれに特徴があり、所要時間や献血できる間隔が異なります。ご自身のライフスタイルや献血への思いに合わせて、これらの情報を参考に、最適な献血方法を見つけていただければ幸いです。
献血は、誰かの命を救う、尊い社会貢献活動です。この記事が、皆様が献血への一歩を踏み出す上での不安を解消し、より深く献血について理解する一助となれば幸いです。