献血を始める前に:知っておきたい基本的な基準
献血を始める前に:知っておきたい基本的な基準
献血は、病気やけがなどで輸血を必要としている方々の命を救う、尊い行為です。社会貢献に関心をお持ちの皆様の中には、献血を考えている方もいらっしゃるかもしれません。しかし、「自分は献血できるのだろうか」「どんな条件があるのだろう」といった疑問や不安をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
献血は誰でもすぐにできるというわけではなく、安全に献血を行うためにいくつかの基準が定められています。これらの基準は、献血される方の健康を守るとともに、輸血を受ける方の安全を確保するために非常に重要なものです。
この記事では、献血を始める前に知っておきたい基本的な基準について解説します。献血にご協力いただける条件について理解を深めていただき、安心して献血にご協力いただける一助となれば幸いです。
なぜ献血に基準があるのでしょうか?
献血の基準は、主に以下の二つの目的のために設けられています。
- 献血にご協力いただく方の健康を守るため: 献血によって体調を崩したり、健康に影響が出たりしないよう、一定の基準を設けています。
- 輸血を受ける方の安全を守るため: 献血された血液が、輸血を必要とする方に安全に届けられるよう、病気の感染リスクなどを排除するための基準を設けています。
これらの基準は、医学的・科学的な根拠に基づいて定められており、常に最新の知見に合わせて見直しが行われています。
主な献血基準について
献血の基準は多岐にわたりますが、ここでは特に基本的な項目について説明します。ご自身の健康状態や状況と照らし合わせてご確認ください。
年齢と体重
献血の種類によって、年齢と体重の基準が異なります。
- 200mL献血:
- 年齢: 男女ともに16歳から69歳まで
- 体重: 男性45kg以上、女性40kg以上
- 400mL献血:
- 年齢: 男女ともに18歳から69歳まで(ただし、65歳以上の方については献血いただく方の健康を考慮し、60歳から64歳の間に献血経験がある方に限られます)
- 体重: 男性50kg以上、女性50kg以上
- 血小板成分献血・血漿成分献血:
- 年齢: 男女ともに18歳から69歳まで(ただし、65歳以上の方については献血いただく方の健康を考慮し、60歳から64歳の間に献血経験がある方に限られます)
- 体重: 男性45kg以上、女性40kg以上
※年齢の上限は、原則として69歳までとされています。
健康状態
献血にご協力いただく方の健康状態が良好であることが重要です。以下のような項目について確認が行われます。
- 当日の体調: 発熱や風邪のような症状がある場合は献血できません。十分に回復してからご協力をお願いします。
- 病歴: 特定の病気にかかったことがある場合、献血ができないことがあります。例えば、心臓病、脳卒中、重い肺の病気、てんかん、悪性腫瘍、ウイルス性肝炎などです。
- 服薬: 現在服用している薬によっては、献血ができない場合があります。風邪薬や胃腸薬など、多くの薬では献血できますが、一部の薬(例:抗生物質の一部、特定の皮膚病の薬など)を服用している期間や中止後一定期間は献血ができません。事前に献血会場でご確認ください。
- 予防接種: 予防接種の種類によっては、接種後一定期間献血ができない場合があります。
渡航歴
特定の感染症の流行地域への渡航歴がある場合、帰国後一定期間は献血ができないことがあります。これは、未知の感染症が血液を介して伝わるリスクを避けるためです。
その他の基準
上記以外にも、輸血歴、妊娠・出産経験、ピアスやタトゥー、特定の医療行為など、さまざまな項目について基準が定められています。詳細については、献血会場での問診や日本赤十字社のウェブサイトでご確認いただくことが可能です。
献血できるかどうか不安な場合は
「自分の状況で献血できるのだろうか」と迷われる場合は、献血会場にいる医師や看護師にご相談ください。問診や事前の検査を通じて、献血にご協力いただけるかどうかを丁寧に判断してくださいます。ご自身の健康状態や服薬状況、渡航歴など、気になることは遠慮なくお伝えください。
まとめ
献血は、安全性が最も重要視される医療行為です。ご紹介した基本的な基準は、献血される方と輸血を受ける方の安全を守るために設けられています。年齢や体重、健康状態、渡航歴など、さまざまな項目が考慮されます。
もし献血に関心をお持ちでしたら、まずはこれらの基準についてご理解を深めていただくことをお勧めします。ご自身の状況で献血できるかどうか不安な場合は、自己判断せず、ぜひ献血会場で専門家にご相談ください。皆様の温かいお気持ちとご協力が、誰かの命を救う力となります。